平成の歌11


照りかえす光眩しくシャーベット状の

   雪かき分けてからし菜を摘む



間をおきて屋根より雪のなだれ落つる

   音のひねもす庭に響きぬ



六時八分で止まりしままの腕時計

   亡き夫偲び錆びしを磨く



二十年後の老に備ふると言う子等に

   我にはかかる余裕なかりき