風の神様からのおくりもの


 風の神様からのおくりもの15


「なんでまゆが…なんでまゆが…」
おかあさんは次のことばがでません。
おかあさんはまゆをしっかり胸にだ
くと、とぼとぼと家に帰りました。



どこをどう歩いて家にもどったのか、
思い出すこともできないほど、おか
あさんのショックは大きかったので
す。



その夜、まゆ玉をみたおかあさんは、
二重のショックを受けました。
まゆ玉が真っ黒になっていたのです。
「今朝まで黄金色に輝いていたのに、
なぜ真っ黒になってしまったのだろ
うか」



よくみると、まゆ玉だけでなく、ま
ゆもぐったりしています。
まゆのひとみをみたおかあさんは、
はっとしました。
いつもきらきら輝いているまゆのひ
とみが、とても暗かったのです。
こんな暗いまゆのひとみをみたのは
初めてでした。


             つづく



「風の神様からのおくりもの」は、
みほようこの初めての童話集・
「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。







心を病む兄のために、明神様にお参
りする心優しい少女の話など4編。


信州諏訪の「風の神様」から聞いた
お話。
挿絵は長野博一先生。
心温まる創作童話。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




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