かきつばたになった少女13
「ええ、よく知っていますよ。
だって、山彦は私が大好きだった
人のこどもですもの」
「えっ?」
「少女のころ、私は霧ケ峰で人間の
少年に会ったの。
そして、その少年と何度か会ううち
に、おたがいに好きになったわ。
でも・・・今もそうだけれど、人間
の男性と女神は、結婚することは許
されていなかったの。
だから、私はその人と結婚すること
をあきらめたわ。
でも・・・私はその人のことをどう
しても忘れることができなかった。
だから、だれとも結婚しなかったの。
その人は、その後おさななじみの人
と結婚したわ。
そして、生まれたのが山彦。
だから、山彦のことは、ずっと気に
なっていたわ」
「そうだったのね。私なにも知らな
かった」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090317#p1
「かきつばたになった少女」は、
霧ケ峰高原の八島湿原に咲いている
かきつばたのお話。
ある日、女神のかきつばたは、霧ケ
峰高原へきすげの花をとりに行きま
した。
そして、ふもとの少年・山彦と出会
います。
さて、二人は・・・?
「かきつばたになった少女」は、みほ
ようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に、収録されています。
童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。
童話集「ライオンめざめる」
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html