開善寺の早梅の精4
「開善寺の早梅を、ひとめみたい」
そう思った文次は、そっと戦場を
ぬけだしました。
そして、胸をはずませ、開善寺へ
といそぎました。
開善寺へ着くと、梅の花が何輪も
咲いていました。
雪のように白い、美しい花でした。
あたり一面、梅の花のよい香りが
しています。
清らかな香りでした。
「なんていい香りだろう」
文次は、梅の香りにうっとりしま
した。
そして、早速、一句よみました。
南枝向暖北枝寒
一種春風有両般
(南枝は暖に向かひ北枝は寒し
一種の春風両般あり)
歌をよみ終えた文次は、梅の花に
みとれていました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090911#p1
初めて読んでくださったかたへ