井戸で鳴く黄金色のにわとり25
「なに? 姫が・・・井戸に身を
なげたと」
「はい」
「なぜだ」
「逃げているうちに、おつきの人
たちとはぐれてしまったようです。
そして、織田の兵士たちに、井戸
の所までおいつめられたようで・・・」
「そうか。かわいそうに」
信廉は、そういったまま、だまっ
てしまいました。
十日後。
大島城を逃れた信廉たちは、故郷
の甲斐にもどりました。
「わしは、るり姫を守ってあげる
ことができなかった。
今度の戦では、おおぜいの人がけ
がをしたり、なくなったりした。
戦とは、ほんとうにむなしいもの
じゃのぅ」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100203#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100111#p1
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。