ふしぎな鈴12
次の日。
姫は桜の木の下へ行き、桜の鈴
を七回ふってみました。
「リーン・リーン・リーン…」
すんだ音色が、あたりにひびき
わたります。
「昨日、桜の花が話していたこ
とは、本当かしら?」
姫は、桜の花に話しかけました。
「こんにちは」
「……」
「私、小桜よ」
「……」
聞こえなかったのかしらと思い、
姫はもう一度鈴をふり、ゆっく
り話しかけました。
でも、桜の花は何も答えません。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100624#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。