ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴14
 

「私もうれしいわ」
「でも……姫さま、せっかく……
お話ができるようになったのに、
……もうすぐ……お別れしなくて
はならないの……残念だわ」
「なぜ?」



「私たち……もうすぐ……ちって
しまうの」
「でも、また会えるでしょ?」
「ええ、姫さま。来年……また会い
ましょうね。
この鈴のことは……だれにも……
ないしょよ。
……姫のおとうさまにも……ね」



とぎれとぎれでしたが、姫は桜
の花とお話することができました。
「この鈴を七回ふると、花とお
話をすることができるのね。
なんてふしぎな鈴なのかしら」
姫はそっとつぶやきました。
 

            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100626#p2



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。