ふしぎな鈴18
「くやしい、くやしい……。
なんとしても、にくき北条をほ
ろぼしたい」
心のやさしい姫でしたが、三浦
一族をほろぼした北条を、姫は
どうしても許すことができませ
んでした。
こうして、鎌倉時代から続いた
豪族三浦一族は、北条早雲によ
って、滅ぼされてしまったのです。
一年後、姫は重い病気にかかり、
三十四才の若さで、この世を去
りました。
なくなる少し前、姫はぼだい寺
の和尚に、大切にしていた二つ
の鈴をあずけました。
「私もじきに死ぬだろう。
でも、いつかこの世にふたたび
生まれてきたい。
生まれ変わって、大好きな父や母、
夫とともに、もう一度この世で暮
らしたい」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100630#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1
「ふしぎな鈴」は、みほようこの
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。
リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。