ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴26


「かなもこのせみのように、お
かあさんのおなかから、生まれ
てきたのだよ」
おじいさんがぽつりといいました。



おじいさんといっしょにみたせ
みの羽化は、忘れられない思い
出になりました。
おじいさんもおばあさんも、花
や小鳥が好きな心のやさしい人
でした。



かなが五才の時。
おじいさんが病気でなくなりま
した。
脳こうそくでした。



かなは、人の死に初めてであい
ました。
温かだったおじいさんの体が、氷
のように冷たくなっていくのが
信じられませんでした。


     つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100708#p3



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。