笛の音よ、永久にひびけ15
「かえでのためにも、私だけでも
がんばってみよう」
若者は寝る間もおしみ、毎日笛を
作りつづけました。
「かえでよ、もっと長生きしたか
っただろうに、人間のかってで切
りたおしてしまって、ごめんね」
若者は、笛を作りながら、かえで
に心からわびました。
半年がすぎました。
ある日、やっと気にいった音色の
する笛ができました。
「やっと、清らかな音色のする笛
ができたぞ!」
若者は、とびあがってよろこびま
した。
一カ月後。
若者は、かえでの木が立っていた
丘の上で、コンサートを開きました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100903#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。