竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女7


そんな春のある日。
かなは、一人でしらかば湖へ行きました。
そして、しらかばの木の下で、湖をなが
めていました。



すると・・・。
どこからか、小さな声が聞こえてきました。
「だれかしら」
あたりをみまわしましたが、だれもいません。
耳をすませて聞いていると、こんな話し声
が聞こえてきました。



「しらかばさん。・・・三郎さまは・・・今年も
・・・この湖に・・・みえるかしら」
「ああ、みえるとも。・・・三郎さまは・・・この
村が・・・大好きだからね」
「三郎さまは・・・いつ・・・みえるのかしら」



「ぼつぼつ・・・みえるのではないかな」
「三郎さまが・・・早くみえるといいね。・・・
私、諏訪の話を・・・聞きたいわ」
しらかばといぬのふぐりの花が、話を
していたのでしょうか。


              つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110805#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙