竜の姿をみた少女14
「その人のことを、心から信じていれば、
どんなにひどいことをされても、その人
をうらんだり、にくんだりできないもの
だということを、わしはその時知ったの
じゃ。その人のことを信じるということ
は、いい所も悪い所も、すべて認めてあ
げるということなのだろうね」
おじいさんは、自分にいいきかせるよう
にいいました。
「それはそうと、かなは、今でも湖に竜
がいると信じているのかな」
「はい、信じています。私は、しらかば
湖に、竜がいるのではないかと思ってい
ます」
「なぜ、竜がいると思うのかね」
「私、湖のほとりで、だれかが話してい
るのを聞いてしまったの。もうすぐ三郎
さまがしらかば湖にみえるよって、話し
ていたわ。三郎さまって、竜になった三
郎のことではないかと思うの。だから」
「かなは、いつその話を聞いたのかな」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110823#p2
童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。
童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。
収録されている童話
・ 竜の姿をみた少女
・ 女神さまとの約束
裏表紙