竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女20


「とうちゃんに話をしてあげようと思って」
「きびしい修行を、何万年も続けると、体
の色が真っ白になるのじゃ。わしも、しっか
り修行をして、純白色の美しい竜になりたい
と思っている」



「竜の世界も、大変ですね」
「人間の世界と同じじゃ」
おじいさんは、笑いながらそういいました。


 
その時、「ぴゅぅー」と、涼しい風が吹い
てきました。
「かな。この風は、だれが吹いているか、
知っているかな」
「だれが吹いているの」
「竜が吹いているのじゃ」
「竜が?」



「そう、神様の許しをえて、わしらが吹い
ているのじゃ。風といっても、いろいろな
風があるね。どんな風があるかな」
「五月、青葉が美しいころに吹く風。私、
この風が大好き」


            つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110920#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙