竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女21


「その風を、なんというか知っているか。
薫風というのじゃ」
「薫風?」
「薫る風と書いて、薫風じゃ」
「夏に吹く涼しい風。体がこごえてしま
いそうな冬の北風、台風の時のあらあら
しい風、竜巻のうずを巻くような強い風」



「そうだね。ほかにもいろいろな風がある
ね。どの風も、わしらが吹いているのじゃ。
風だけではないぞ。雨や雪なども、わしら
が降らすのじゃ」
「雨や雪も?」



「そうじゃ。わしらは、雨を降らせ、風を
吹かせて、米や野菜などがたくさんとれる
ように、人間たちに力をかしているのじゃ」
「おじいさん。昨夜、すごい雷がなったわ。
ごろごろっと大きな音がして、ぴかぴかっと
稲妻が光っていた。そして、ぴしゃっという
音がして、どこかへ雷が落ちたようだった。
こわかったわ」


          つづく 


  前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20110927#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
2009年12月、「鳥影社」
から、発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。





   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙