古事記神話「山の神と海の神の娘」


    豊玉比売 14


「じゃあ、おまえが、山彦を送って
あげなさい。 海原の真ん中を渡る
時には、恐ろしい思いをさせないよ
うに気をつけて送ってあげなさい」
海の神は、鰐の背中に山彦をのせ見
送りました。



その鰐は、約束通り、一日で山彦を
地上の国へ送りました。
鰐が帰ろうとした時、山彦は身につ
けていた紐つきの懐剣をほどき、鰐
の背中に結びつけました。



「鰐よ、ありがとう。 気をつけて帰
るのだよ」
山彦は、鰐の姿が見えなくなるまで、
鰐を見送りました。


       つづく