竹取物語


阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 3


何年かすぎました。
待ちに待った唐船がやってきました。
家来の小野が筑紫へ帰国し、都へ帰
ってくると聞き、安倍は小野の帰り
を待ちました。
小野は、安倍がさしむけた足の速い
馬に乗って、筑紫から七日で都へ帰
ってきました。



小野が持ってきた王けいの手紙に
は、こんなことが書いてありました。
「依頼された火鼠の皮衣を、やっと
手に入れることができました。裕福
な長者の家や大きな寺などを訪ね、
皮衣を持っているかと聞いて歩きま
した。でも、皮衣はないといわれま
した。


        つづく