2020-01-11 赤い夕顔の花 童話 [童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 37 お万たちは、近道を歩いて行きました。 すると、向こうから、下条の兵士が二人歩いてきま した。 「おい。今、すれちがった百姓の一家、奥がたと若 君ではないか」 「まさか。奥がたが、あんなうす汚い野良着をきて いるはずがない」 「いや、わからんぞ。変装して、城をぬけだしたの かもしれん」 すれちがった兵士たちの声が聞こえました。 「みつかってしまったかしら」 お万が、心配していいました。 つづく
2020-01-10 赤い夕顔の花 童話 [童話]赤い夕顔の花 赤い夕顔の花 36 楽しかったこと、苦しかったこと、辛かったことな どが、次々に思い出されました。 「盛永さまや家臣たちが、無事でありますように。 もう一度、この城に戻ってくることができますように」 お万は、心の中で祈りました。 「奥がたさま。背中の荷物を少し持ちましょうか」 「だいじょうぶです。あなたこそ、重い荷物を持 っていただきすみません。道中、どうかよろしく お願いします」 「奥がたさま。無事に浪合の実家へ着けるとい いですね。では、先を急ぎましょう。下条の兵士 たちにみつからないように、こちらの近道を行き ましょう」 つづく