竜の姿をみた少女10
兄たちは、わしにやきもちをやいたのじゃ。
わしの妻は、村一番の・・・いや信州一の美しい人
だった。姿が美しいだけでなく、心のやさしい人だ
った。その上、働き者だった。妻は、朝から晩まで
よく働いてくれた。だから、兄たちは、わしがうら
やましかったのじゃろ」
「おじいさんは、兄さんたちにうらぎられた時、ど
うしたの?」
「わしは、信じていた兄たちに、諏訪湖の深いふち
につき落とされた。びっくりしたけれど、わしは兄
たちをうらんだり、にくんだりすることはできなか
った。『あんなにひどいことをされたのに、おまえ
は少しも兄たちをにくんでおらぬ。なぜじゃ』、わ
しを助けてくれた神様は、そういったけれど・・・ね」
おじいさんは、兄たちにつき落とされた時の様子を
話してくれました。
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
「竜神になった三郎」は、2004年4月、七年に一度
おこなわれる諏訪大社の「御柱祭」にあわせ、「鳥影社」
から発行されました。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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