友とは

「そなたはいつも孤独、そなたの不運は孤独から
じゃ。 友をつくりなさい。 
友つくることは己をつくることと申してあろうが。
友つくることは新しき世界をつくることぞ。 
一人の世界は知れたものぞ。 
一人ではマコトの道を生きてはいかれんぞ。 
友と申しても人間ばかりではないぞ。
山も友、川も友、動物も植物も皆友ぞ。
大地も大空も皆友となるぞ。
何もかも皆友じゃ。
皆己じゃ。
皆々己となれば己はなくなるぞ。
己なくなれば、永遠に生命する無限の己となる
のじゃ。




野菜拝めば野菜が、魚拝めば魚が己となるのじゃ。
拝むとは和すこと。 和すことが友作る秘訣ぞ。
友を己とすることは、己を友とすることじゃ。
友に捧げることじゃ。

  − 月光の巻 第56帖 −



気の合う者のみの和は和ではない。
色とりどりの組み合わせ、ねりあわせこそ花咲く
ぞ。 すべてが神の子じゃ。 大神の中で弥栄ぞ。
大き心、広き心、長い心結構。
中々に合わんと申すなれど、一つ家族ではないか。
心得なされよ。

  − 月光の巻 第9帖 −




このことばにあったのは、今から十数年前。
その頃の私は、体の不自由な義母の世話と、茶道
教室で忙しい毎日を送っていた。 そして、心の
余裕もなくしていた。




月に一度行くお茶の本部稽古の帰り、東京の書店
でみつけた本に、このことばがのっていた。
このことばを読んだ時、なぜか涙がでた。
その本は難しく、何度読んでも私には理解できな
い。 しかし、このことばだけは、素直に私の心
にはいってきた。