昭和50年代の歌2


冬の日に張り替えし障子の乾く音
    聞きつつ部屋に一人茶を飲む




体中の血管状態解るといふ
    眼底写真恐れつつ見ぬ




落葉焚きし残り火気づかひ出でて来し
    庭に七日の月を仰ぎぬ




ペルーにて生まれていまだ顔も見ぬ
  一才半の水着にて写れる孫の写真届きぬ




文鳥に餌を与へつつ声かけし
    亡き夫想ひ巣箱を洗ふ




映画にて見し野麦峠に今日来れば
    秋の雨降りあたりしずけし




在りし日のままなる夫の標札を
    動かして過ぎる夕風あり




娘紀子をよろしく頼むと
    嫁の父の見せし涙を今も忘れず




亡き夫の受け持ちくれし力仕事
    吾が為しつつ二年過ぎ来し




米十キロ1095円と記しある
    十五年前の家計簿ひもときをり




雲間より一筋日影さす空に
    児等揚げし凧高々と舞う




先日、母が、妹夫婦と一緒に、我が家へ寄っ
てくれた。 母に「お母さんの短歌を、私
のページにのせているからね」と話した。




すると・・・。
「今の短歌なら良いけれど、昔の作り始め
の頃の短歌なんて、はずかしいわ・・・」
と、母はいった。




いきなり、今の短歌をのせるわけにもいか
ないので、だんだんにのせていこうと思う。