賽銭を少しはづみて娘夫婦と
深閑とせし社に初詣する
住所氏名血液型も書きそえて
防災頭巾今宵仕上げぬ
東海地震に備え吾が駐車場に
自主防災集合地の立て札たちぬ
心通ふ友等を招きて食事せむと
一時間早く床を離れぬ
冬のまに五加の棘をとることを
友の歌にて初めて知りたり
埃立つまでに乾きし門先に
まばらに散れる松葉掃きよす
自信なき旧仮名づかひに心配り
新入会の歌稿書きおり
陽炎の残るるを見つつ想ひおり
友と文永寺巡り来りて
遠く来て宿りし大島の民宿に
潮騒の音沁みて聞きをり
霧深く登頂あきらめし三原山の
黒き溶岩二つ拾ひぬ
被害者意識強き人と話しいて
吾が心迄暗くなりたり
早春の陽射しやはらぐ丘畑に
夕おそく迄人動く見ゆ