竜の姿をみた少女

「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集に収録されている「竜神になった三郎」の
続編。


昨日につづき、「竜の姿をみた少女」を紹介します。


   「竜の姿をみた少女2」


湖につき落とされた三郎は、神様に助けられ、地の
国の王子になりました。
しかし、三郎はこいしい妻のことが忘れられず、や
っとの思いで村にもどってきました。
村にもどってきた三郎は、なぜか竜になっていたの
です。
こんなお話でした。


 
「竜になった三郎」の話を聞いたかなは、思いました。
「なぜ、三郎は竜になってしまったのかな」と。
「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまったの?」
「なぜだろうね。三郎は、地の国で長い間暮らしていた
からだとか、神様からもらった鹿のきもでつくったもち
を、千枚も食べたからだとか、いろいろいわれているけ
れど、本当の理由はわからないね」



「とうちゃん。竜って、どんな姿をしているの?」
「どんな姿をしているのだろうね。とうちゃんも、絵で
しか竜の姿をみたことがないからわからないよ。今夜、
かなにそのりゅうの絵をみせてあげよう」
二人は、湖のほとりで、時々竜の話をしました。
「竜になった三郎」の話を聞いたかなは、「しらかば湖
に、竜が住んでいるといいな」と、思うようになりました。



しかし・・・。
「竜?そんなものいるはずないよ」
「うわさだよ、うわさ」
「この村に伝わっている話だろ?」
「この世に、竜なんているはずないじゃん」
「かなちゃん、そんなこと信じているの?馬鹿みたい」
こどもたちは、みんなそういいます。
こどもたちだけでなく、大人も・・・。



「となりのかなちゃんは、しらかば湖に竜がすんでいる
と信じているようだわ」
「この世に、竜なんているはずないのにね。何を馬鹿な
ことをいっているのかしら」
「そういえば、かなちゃんのおとうさんも、湖に竜がい
ると信じているみたい」
「ほんとにおかしな親子だねぇ」
村の人々は、どの人も「竜なんかいない」と思っていま
した。 


        つづく



竜神になった三郎」が収録されている本は、こちら。


竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)