童話「風の神様からのおくりもの」


 童話「風の神様からのおくりもの」3
 

「おめでとう。よかった、よかった」
人々の喜びの声が聞こえてきました。
「女の子よ、助かって本当によかったのー。もう
だめかと、わしも心配したぞ」
神さまは、ほっと胸をなでおろしました。



女の子のことを心もとなく思った神さまは、そで
の中からまゆ玉をとりだしました。
「まゆ玉よ、どうかわしのかわりに、この子をし
っかり守ってやっておくれ。たのむぞ」
神さまがまゆ玉をなでると、まゆ玉はきらっきら
っと黄金色に輝きだしました。



神さまは祈るような気持で、まゆ玉をそっと縁側
におきました。
「女の子も助かったし、さてわしも社に帰って休
むとしよう」
神さまはまた風になって、守屋山に帰りました。
「小桜姫、小桜姫。聞こえるかな。風の神じゃ。
伊那谷の女の子は、あぶない所で助かってよかっ
たのー。しかし、これから大変じゃのー。
わしも毎日あの子が元気に育つよう祈っているぞ」



「風の神さま、あの子を助けていただき本当にあ
りがとうございました。
いちじはどうなることかと、私もはらはらしまし
たが、風の神さまのおかげで助かりました。
本当にありがとうございました。このご恩は一生
わすれません。これからもどうかあの子のことを
よろしくお願いします」



「そうそう、かんじんなことを、いい忘れるとこ
ろじゃった。実は、わしが大切にしている例のま
ゆ玉を、女の子においてきたので、そのつもりでな」
「風の神さま、例の黄金色のまゆ玉でございますか。
そんな大切なまゆ玉をあの子に・・・・・・。
風の神さま、本当にあの子がまゆ玉をいただいてよ
ろしいのでしょうか」



     つづく




童話「風の神様からのおくりもの」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に、収録されています。




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話