童話「かきつばたになった少女」


    童話「かきつばたになった少女」4


しかし、女神さまたちは、一人で遠くへでかける
ことを、神様からかたく禁じられていました。
そのため、かきつばたは、誰にも行き先をつげず、
たった一人で霧が峰へ行こうと思ったのです。



霧が峰へつくと、広い草原には、きすげの花が、
一面に咲いていました。
「わー、きれい!!」
かきつばたは、思わず大声をあげました。
「おばさまは、この草原を、大好きな人と一緒に
歩いたのね」
かきつばたは、二人の姿を思いうかべながら、夢
中できすげの花をつみました。



ところが・・・。
はっと気がつくと、あたりは霧で真っ白でした。
いつ霧がでてきたのでしょうか。
かきつばたは、いそいで家に帰ろうと思いました。
しかし、濃い霧のため、一寸先もみえません。
とほうにくれたかきつばたは、沼のほとりで、霧
が晴れるのをじっと待ちました。
「おとうさま、ごめんなさい。私はおとうさまと
の約束をやぶり、一人で霧が峰へきました。病気
のおばさまに、きすげの花をプレゼントしようと
思ったのです。おとうさま、どうか霧が早く晴れ
るように、私をしっかり守ってくださいね」
 

         つづく


童話「かきつばたになった少女」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行される、みほようこの四冊目の童話集・「ラ
イオンめざめる」に収録されます。



童話集「ライオンめざめる」は、「風の神様から
のおくりもの」シリーズ4。
今、本を製作中。
九月までには、本ができる予定です。



    今までに発行されたみほようこの本



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)