童話「笛の音よ、永久にひびけ」5
「ばさっ」
「ばさりっ」
じゃまになるといわれた森の木が、大きな音をたて、
次々に切りたおされていきました。
「チェーーン」
「チェーーン」
チェーンソーの音でしょうか。
高い音が聞こえたかと思うと、あっという間に、森
の木が次々に切りたおされていきます。
楓が驚いてみていると、森の木がみんな横たおしに
なってしまいました。
「いよいよ、わしの番か。さぞ、痛いだろうな」
そう思った時、耳元で「チェーーン」という高い音
がしました。
「ばさりっ」
楓の木のたおれる音が、丘の上にひびきわたりました。
楓は余りの痛さに顔をしかめ、そのまま失神してしま
いました。
気がついた時には、楓は一メートルくらいの長さに切
られていました。そして、他の木と一緒に、高原のふ
もとへ運ばれました。
余りにもたくさんの木だったので、森の木はそのまま
何ヶ月も積まれたままでした。
雨が降ったり、風が吹いたりして、どの木もだんだん
に枯れていきました。
つづく
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこの
四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録されます。
「ライオンめざめる」は、来月末(九月末)に、
http://www.choeisha.com/
から、発行される予定です。
収録される童話
・ ライオンめざめる
・ 笛の音よ、永久にひびけ
・ かきつばたになった少女
今までに発行された「みほようこ」の本