愛犬りゅう「ばいばい、またね」


 愛犬りゅう「ばいばい、またね」15


ぼくがあーちゃんの家にきたのは、生後40日位。
きて十日位は、あーちゃんと一緒に庭で遊んだり、
家のまわりを歩いて、歩く練習をした。
あーちゃんの家のまわりは、小さな砂利がしいて
ある。歩くと、足の裏が痛かった。
「なんで、砂利などしいてあるの?」
ぼくはそう思った。
「砂利で、ハイヒールの底がいたんで困るわ」
あーちゃんだって、そういっているのに。なぜし
いてあるのだろう?



最初の日は、家のまわりを一度だけ歩いた。
次の日は、一日に二度。
その次は三度と、だんだんに歩く距離を長くして
いった。
「りゅう、今日は遠くまでつれていってあげるよ」
二週間位たった時、あーちゃんがいった。
「わーい、うれしいな。どこまでつれていってく
れるのかな?」
ぼくはとびあがってよろこんだ。



「さあ、出発だよ」
ぼくはあーちゃんの後について、とことこと歩い
た。初めて車の通る道へでた。
「ごぉー・ごー」
大きくて四角なものが、すごい音をたてて走って
いく。
「こわい!!」
ぼくは足がすくみ、しゃがみこんでしまった。



「りゅう、どうしたの?これは車の音だから、大
丈夫だよ」
あーちゃんはそういって、ぼくのせなかをなでて
くれた。
「車にひかれると死んでしまうから、ちゃんと歩
道を歩こうね」
歩道を歩けば、大丈夫なのか。
ぼくは車の音におびえながら、坂道をのぼってい
った。何台も何台も、車が通る。


             つづく