白駒の池


   白駒の池7


第二章 ゆうすげの咲く高原で



八年がすぎました。
きよは、十八才になりました。
きよは、美しい娘に成長しました。姿が美しいだけ
でなく、きよは心のやさしい娘でした。
長者の家では、山の仕事をする人、畑やたんぼの仕
事をする人、台所の手伝いをする人など、おおぜい
の人が働いています。



きよは、その人たちに、きがるに声をかけます。
「長者のおじょうさまは、きさくなかただね。ふつ
うなら、わしらに声なんてかけてくれないだろうに」
「おじょうさまは、いつもごくろうさまって、声を
かけてくれる。やさしいかただね」
「奥さまがなくなられた後、おじょうさまは長者の
世話をよくしている」
やしきで働いている人たちは、みんなきよが好きで
した。



梅雨があけた七月のある日。
「清太さん。ゆうすげの花って、みたことがある?」


                       つづく