ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」1
今からおよそ五百年前。
小桜姫は相模の国鎌倉で生まれました。姫の生家は、
大江といいます。大江家は大昔からずっと続いた旧
家でした。
大江家には男の子が一人もなく、こどもは姫だけ。
大江家にとって、姫はたった一人の大切なこどもで
した。
その頃の鎌倉は、武家やしきが建ちならぶ、物静か
な町でした。そんなやしきの中でも、大江家は立派
な門構えの大きなおやしきだったのです。
姫が生まれた時、庭の桜が美しく咲いていたので、
姫は「小桜」と名づけられました。
やしきの広い庭には、桜・梅・椿など、たくさんの
木が植えてあります。その木へ、いろいろな小鳥たち
がやってきます。
梅の花が何輪か咲き始めた春のある日。
「ホ…ホー…」
「ケキョ…、…ケキョ」
庭で小鳥が鳴いています。
「おとうさま、おとうさまー」
姫が、大声でおとうさんをよんでいます。
つづく
「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。
2005年9月、「鳥影社」から発行されました。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
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