風の神様からのおくりもの


    風の神様からのおくりもの15


まゆは三才になりました。
まゆはまだねがえりができません。
ぺたんとねているだけです。
まゆ玉は少しずつですが、白くなっていました。
ある日、おかあさんはまゆ玉の上の方が、黄金色
になっているのに気がつきました。



七月のある日の朝。
まゆの部屋に入ったおかあさんは「あっ」と大声
をあげました。
ねがえりすらうてないまゆが、部屋の中をはいは
いしていたのです。
おかあさんは夢をみているのではないかと思いま
した。



でも夢ではありません。
まゆがはいはいして、おかあさんの胸の中にとび
こんできたのです。
「まゆ、よかったねー。おめでとう。やっとはい
はいができるようになったのね」
おかあさんの目から、大粒の涙がはらはらとこぼ
れました。


つづく

 

「風の神様からのおくりもの」は、みほようこの初め
ての童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録さ
れています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話