きよと清太と、そして白駒10
「清太さんのおかあさんって、どんな人?」
「とってもやさしい人。笑顔のすてきな人かな」
「清太さんは、おかあさんが大好きなのね」
「うん。大好きだよ」
清太は、きっぱりいいました。
「かあちゃんが生きていたら、どんなに良いだろう」
母のいないきよは、そう思いました。
「清太さんのおかあさんは、いつも家にいるの?」
「かあちゃんは、週に一度、近くの長者の家へお手伝
いに行っている」
「長者の家って?」
「守屋山のふもとにある長者の家だよ」
「その家なら、私知っているわ。あそこのおじさんと、
とうちゃんは友だちなの」
「そうだってね。おらを、この家へ世話をしてくれた
のは、あの長者さんなんだ。佐久の長者さんはいいか
ただから、あそこへ行っていろいろ勉強しておいでと
いわれた」
つづく