きよと清太と、そして白駒


きよと清太と、そして白駒31


「おらがもっと家柄の良い家に生まれていたら、
今きよちゃんにプロポーズするのに。でも、お
らの家は貧乏だ。だから、きよちゃんを幸せに
してあげることができない。それに第一家柄が
ちがいすぎる」
清太の心はゆれました。
 



二人は、無言のまま、ゆうすげのつぼみをみて
いました。
清太には、長い時間がすぎたように感じました。
あたりがだんだんうす暗くなってきました。
どこからか、ジャスミンのようないい香りがし
てきました。
みると、ゆうすげのつぼみが大きくふくらんで
います。
あざやかなレモン色のつぼみでした。




「きよちゃん。もうすぐゆうすげの花が咲くよ」
清太は、気持をきりかえようと、明るい声でい
いました。
一枚目の花びらが、ゆっくり開いていきます。
「清太さん。花びらが開いてきたわ。ゆうすげ
の花って、いい香りがするのね」
きよは、花の香りを楽しんでいます。


つづく