黄金色のまゆ玉


   黄金色のまゆ玉13


明神さまは困ってしまいました。
「じゃあ、こどもの病気がなおったら、す
ぐまゆ玉を返しておくれよ」
「もちろん。こどもが元気になったら、す
ぐまゆ玉を返すよ」
近いうちにまゆ玉をかしてもらえることに
なった友だちは、うれしそうに家へ帰って
いきました。



それから、しばらくして、明神さまは二つ
目の黄金色のまゆ玉を授かりました。
でも、明神さまの心は、複雑でした。
「次のまゆ玉を授かったら、まゆ玉をかし
てあげる」と奥さんと約束をしていたし、
友だちにもまゆ玉をかしてあげると約束し
ていたからです。


          つづく



信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。


「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。