黄金色のまゆ玉16
「私、この下諏訪の地が気にいったわ。朝
も早くから太陽の顔をみることができるし、
上諏訪のやしきよりずっと暖かい。
それに、このごろ温泉もわきでるようにな
ったし。だから、私はずっとここでくらす
つもりよ」
そういって、奥さんは下諏訪のやしきで暮
らすことになったのです。
もともと、人がうらやむほど仲のいい夫婦。
明神さまは奥さんと離れているのがつらく、
夜になると、毎晩奥さんに会いにいきまし
た。
バリバリッ。
みしっ。
ぱりっ。
みしっ。
「今夜も寒いのぅ」
そういいながら、明神さまは、今夜も奥さ
んのところへいそぎます。
つづく
信州の諏訪地方には、「おみわたり」とい
う伝説があります。
「黄金色のまゆ玉」は、「おみわたり」の
伝説をヒントにして、みほようこが書いた
物語。