火とぼし山


    火とぼし山5


「次郎さん。場所がわかるように、う
んと大きな火をたいてね」
「うん、わかった」
きよと次郎は、かたく約束しました。



二人は、おさななじみ。
小さな時から、仲良しでした。
「きよちゃんと次郎ちゃんは、ほんと
に仲がいいね。兄と妹みたい」といわ
れて大きくなりました。
年頃になった二人は、いつしか強く心
をひかれるようになっていたのです。



三日後。
次郎は、西の村へ引っ越していきました。
「次郎さん。約束を忘れないでね。七
日後、会えるのを楽しみにしているわ」
「おらも、きよちゃんに会えるのを、楽
しみにしているよ」
次郎は、なごりおしそうに西の村へ引っ
越していきました。


              つづく



信州の諏訪盆地にある諏訪湖には、
「火とぼし山」という悲しい伝説があ
ります。

「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。