火とぼし山


   火とぼし山6


第二章 再会


七日がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
早めに仕事を終えたきよは、西山に太
陽が沈む頃、次郎が住む村にむかって
出発しました。



「今夜は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみます。
何時間もかかる遠い道のりも、夜道も、
きよは苦になりませんでした。



しばらく行くと、まっくらになりました。
きよは、あかりに火をともし、諏訪湖
のまわりを、足早に歩いていきます。
「次郎さん。早く火をたいてね」
そう心の中で祈りながら、きよは歩き
ました。


              つづく



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」と
いう悲しい伝説があります。

「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。