井戸で鳴く黄金色のにわとり


   井戸で鳴く黄金色のにわとり9


「大島城を、みんなで守るのじゃ。
みなのもの、たのんだぞ」
人々は、いそいで戦の準備をしま
した。
戦でこわいのは、火事。火事にな
れば、手のほどこしようがありま
せん。城では、火を消すための水
が、大量に用意されました。



「ぱか、ぱかっ、ぱか」
三河軍のひづめの音が、だんだん
に近づいてきます。
「ひひーん」
「ひひーん」
馬のなき声も聞こえます。



「おー」
「おぅー」
兵士たちの声が、風にのって聞こ
えてきました。
信忠のひきいる三河の軍勢は、数
万。こちらは、たったの数百。
援軍が到着しても、軍勢はせいぜ
い数千でした。


              つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州伊那谷の大島城」に伝
わっている伝説をヒントにして、
みほようこが書いたもの。