開善寺の早梅の精8
「まあ・・・こっそりぬけだしてき
たのですか。みつかったら大変でし
ょうに」
「今ごろ、文次がいないがどうした
と、さわいでいるでしょうな」
「文次さんて、おもしろいかたです
ね。さむらいではないみたい」
梅香となのる女の人は、そういって
笑いました。
「わしは、戦が大きらいじゃ。
罪もない人を傷つけたり、殺したり
するのをみていると、ほんとにむな
しくなる。一日も早く、戦のない世
の中になってほしいものじゃ」
「そうですね。平和な世の中になる
といいですね」
女の人は、しんみりいいました。
「どこの人だろう。京の人かな」
文次は、女の人のことが気になりま
した。
つづく
信州の伊那谷に、「開善寺」という
寺があります。
「開善寺の早梅の精」は、開善寺に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。
初めて読んでくれたかたへ
開善寺の早梅の精1
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20080607#p1
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