昭和50年代の歌14


庭隅のほぐれつつ伸びしミヤマソテツに

   夕づく木漏れ日淡く射し来つ



二階より見下ろす桑畑一様に

   芽吹きて目にしむ朝光さして



千二百メートルを十五分と言ふ歩くペース

   きまりて指導受けつつ歩く



一輪のカタクリの花床に飾り

   茶を点てる娘の背に落ちつきの見ゆ



停電の時間だけ遅れしタイムスイッチ

   進めて今日の厨仕事終りぬ



人それぞれに合ひたる交はりも身につきて

   移り住みしより二十四年過ぐ