昭和60年代の歌12


自らの墓の成りしを喜びゐし

   君忽ちに逝きてしまひぬ



別れぎはの友の一言心に重く

   残りしままに帰り来りぬ



冬のうち部屋に囲ひし玉すだれ

   あまたの花芽膨らみて来ぬ



親しみし心離るるもしかたなし

   凍てつく道を帰り来りぬ