昭和60年代の歌23


雪とけしクチナシの朱実色冴えて

   暮れなづむ庭の風にゆれをり



掃除機の塵に交じれるわが白髪

   冬の夕日に光りて侘びし



老眼鏡かけて吾ひく広辞林

   子等が引きたる傍線したし



軒下に枯れゆく葱の下葉より

   淡き緑の萌えたち出でぬ