昭和60年代の歌34


淡き緑にこぞり萌へきしアサツキを

   つむ手に土の温かみ伝はる



小川辺の岸に群れ生ふる猫柳

   白白として春陽をかへす



枯草の風にそよげる農道に

   小さき餅草手間どりて摘む



やりばなき心に耐えし幾日か

   イヌフグリ咲く野にいで来ぬ