井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり1


信州の伊那谷、大島の里に、古い
城がありました。
城の名は、大島城。



平安時代末期につくられた城で
した。
天竜川の水がうずまく「大蛇ケ淵」
をのぞむ段丘の上にあったので、
「台城」ともよばれています。



今からおよそ四百四十年前。
元亀二年。
甲斐の武田信玄は、伊那郡下から、
たくさんの人足を集め、大島城の
大改修をしました。
大島城は、武田軍が三河地方をせ
めるための拠点としてつくられた城。



城代は、武田信廉
信玄の弟でした。
信廉は、和歌や書・絵・彫刻など
をたしなむ風流な人でした。
城には、るり姫という心のやさし
い姫がいました。


            つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして書い
た物語。