火とぼし山


   火とぼし山29


すると、
「きよちゃん。実は、おれ・・・」
次郎が、いいにくそうに話を始めま
した。
「次郎さん。どうしたの」
「実は、きよちゃんと」



次郎さんて、ほんとにじれったい人
ね。いいたいことがあれば、はっき
りいえばいいのにと、きよは思いま
した。



「きよちゃんと会っていることが、
主人にばれてしまったんだ。
だから、しばらくきよちゃんとは会
えない」
「どうして、私たちが会っているこ
とが、わかったの」


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100407#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。