火とぼし山69
「あなた、何をいっているの。
私たちが、きよを助けるんでしょ。
足長、私を背負って、淵のまわり
をゆっくり歩いてちょうだい」
「手長。そんなことをしたら、わ
しらもうずにまきこまれてしまうぞ」
足長が、うずをみていいました。
すると、手長がいいました。
「私、きよのためなら、どんなこ
とでもしてあげたい。
あなた、私を背負って、うずのま
わりを歩いてくださいな。
私が、きよを助け出すから」と。
「わかった。でも、手長、くれぐ
れも気をつけておくれ」
足長が、心配していいました。
足長は手長を背負い、ごぉーと音
をたてているうずのまわりを、ゆ
っくり歩きました。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100517#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。