火とぼし山


    火とぼし山85


すると、
「きよ、静岡へついたかな。
おまえは、これからそこで暮らす
のじゃ。
わしの友だちのばあさんと一緒にな。



きよ、記憶がもどったら、いつで
も諏訪へもどっておいで。
待っているぞ」
どこからか、明神さまの声が聞こ
えてきました。



「きよ、こっちの方角が、諏訪だよ。
さみしくなったら、足長とよんでく
ださい。すぐとんできますから」



「きよ。足長と一緒に、時々遊びに
くるからね。元気で暮らしてね。
じゃあ、私たちは諏訪へ帰ります」
手長と足長が、なごりおしそうにい
いました。

           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100602#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。