ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴1


   ー プロローグ ー


小高い丘にのぼると、目の前に
南アルプスの山々が美しくみえ
ます。



山深いこの町にも、ようやくあ
たたかな春がやってきました。
丘の上の桜が、今年も美しく咲
きました。



かなは丘へ着くと、桜の木の方
へ走って行きました。
そして、ポケットから鈴をとり
だし、静かに鈴をふりました。



「リーン・リーン・リーン・・・」
すんだ音色が、あたりにひびき
わたります。



「かなさん、ありがとう。
今年も忘れずに会いにきてくれた
のね。うれしいわ」
桜の花が、笑顔でかなを迎えました。


            つづく



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。



http://www.bk1.jp/product/02593627