笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ14


若者と村の人たちは、何カ月もか
けて、笛を作りました。
しかし、何本笛を作っても、なぜ
かもの悲しいさみしい音しかしま
せん。



「かえでの木では、良い音がでな
いのだろうか。
いや、そんなはずはない。心なら
ずも切りたおされたかえでのため
にも、すばらしい音色のする笛を
作りたい」
若者は、心に強く思いました。



若者と村の人たちは、何本も何本
も、笛を作りつづけました。
しかし、澄んだ音色のする笛はで
きませんでした。



「かえでの木では、だめなのかも
しれない。
あきらめるよりしかたがないのか」
若者は、弱気になりました。


             つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100902#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100821#p2



「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。