ライオンめざめる


  ライオンめざめる10


「うーん・・・うーん・・・」
ライオンのうなり声で、かなは
はっとわれにかえりました。



あんなにたくさんいた赤いちょう
は、どこをさがしても一匹もいま
せんでした。
「赤いちょうは、どこへ消えてし
まったのかしら」
かなは、ふしぎに思いました。



みると、松虫草の花が、何事もな
かったかのように、風でゆれてい
ます。
「いたいよぉー・・・いたいよ・・・」
ライオンが、またないています。
かなは、いつものように、ロケット
をやさしくなでてあげました。



「うー、わん、わん」
とつぜん、りゅうが大声でほえま
した。


            つづく



    前回の分は、こちら。
  

http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100918#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100910#p2



信州の「霧ケ峰高原」を訪れた時に、
諏訪の「風の神様」から聞いた話。


童話「ライオンめざめる」は、
みほようこの四冊目の童話集
「ライオンめざめる」に収録され
ています。








    「ライオンめざめる」裏表紙