女神さまからのおくりもの


女神さまからのおくりもの55


 第五章 それぞれの思い

      
八月のある日。
「きよ、ちょっと」
「とうちゃん。なに」
「きよは、いとこの次郎のことを、
どう思っているんだい」



「次郎さんは、やさしい人だわ。
でも、私は、次郎さんと結婚する
気はありません」
きよは、きっぱりいいました。
「なぜ?」



「私、人のいいなりになっている
次郎さんを、好きになれないの。
それに、次郎さんは、なんだかた
よりないし」



「たしかに、次郎にはそういう所
がある。庄屋の仕事は、大変だ。
村の人たちの先頭にたってやって
いかなくてはならないからね。



わが家の仕事を安心してまかせら
れる人が、きよのむこになってく
れるといいのだが」
結婚とは難しいものだと、吉衛門
は思いました。 


             つづく



    前回の分はこちら。
   

http://d.hatena.ne.jp/youko510/20101123#p1



    初めて読んでくださったかたへ


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