女神さまからのおくりもの71
麦草峠まで、どれくらいかかるの
だろうか。
清太は、峠に向かって歩き始めま
した。
おらが追い出されたことを知った
ら、きよちゃんは心配するだろうな。
やしきにもどり、もう一度、庄屋
さまにお願いしてみたらどうだろう。
いや、そんなことをしてもむだだ。
じゃあ、きよちゃんから、庄屋さま
にお願いしてもらったらどうだろう。
そんなことをしたら、きよちゃんに
迷惑がかかる。
清太の心は、湖にうかんでいる小舟
のように、ゆらゆらゆれています。
清太は、誰も通らない山道を、きよ
のことだけ考えて歩きました。
暗闇の中で、清太の足音だけが聞こ
えます。
つづく
前回の分はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20101209#p1
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